契約の呪縛時代

興行的に失敗した『ドラゴンファイト』ですが、リンチェイは『ドラゴンファイト』で再婚するパートナーとなったニナ・リーと出会いました。またロー・ウェイ(羅維)を通じてロー・ウェイの息子、羅大衛と出会うことになりここからゴールデン・ハーベストと契約を結ぶことになりリンチェイはロー・ウェイの息子羅大衛にこれから先悩まされることになってしまいます。

リンチェイと羅大衛は年齢も近いことがってすぐに親しくなりました。そして渡米してまだアメリカ生活に不慣れというリンチェイをいろいろ助けたことで、羅大衛はリンチェイの信頼を勝ち取ることに成功します。そして信頼していることを良いことに、リンチェイに自分とマネージメント契約を持ちかけます。羅大衛はかなりの取り分をマネージメントとして受け取ることになっていましたが、リンチェイはすっかり羅大衛を信頼していたので撮影に専念できるなら。と羅大衛とのマネージメント契約を承諾して10年間にも渡るマネージメント契約を結びます。リンチェイはこの羅大衛とのマネージメント契約に深く悩まされていくことになりますが、この時にはそんなことになるなど思わなかったことでしょう。

羅大衛はリンチェイに香港になる映画会社ゴールデン・ハーベストと契約することを薦めます。羅大衛の母がゴールデン・ハーベストの重役だったということもあって、ゴールデン・ハーベストと契約を結ぶことを薦めたのでした。ゴールデン・ハーエストと契約を結んだ時には、1作品ごとに出演料を選ぶ契約をリンチェイは選んだのですが、羅大衛と羅大衛の母はリンチェイに前払いでゴールデン・ハーベストから出演料を受け取ることを勧めます。ゴールデン・ハーベストのこのギャラ前払いに関しては、映画界で定説になっている「ゴールデン・ハーベストからお金を借りると一生返すことはできない」という定説があり、とにかくまずなんとかリンチェイに出演する前にお金を受け取らせようとするのでした。

リンチャイに前払い金を受け取らせるために、羅大衛はリンチェイをラスベガスに連れていき羅大衛がギャンブルで5万ドルを失いそのお金をリンチェイに借りたいと頼み込み、まだリンチェイは映画に出演もしていないのでそんなお金などあるはずもなく、羅大衛はゴールデン・ハーベストからお金を借りるように説得して結果として、リンチェイは前払い金として10万ドルをゴールデン・ハーベストから受け取ることになります。

それから後もいろいろな理由をつけては羅大衛はリンチェイにお金を要求して、結果的にリンチェイはゴールデンハーベストかあら前渡し金として50万ドルという金額に膨れ上がってしまいました。よってゴールデンハーベストとの契約にがんじがらめに縛られることになってしまいました。

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ツイ・ハークとの出会い

『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』で14年ぶりのタッグとなった監督のツイ・ハーク(徐克)と初めての作品は、リンチェイがゴールデン・ハーベストとの契約でがんじがらめになった時期に撮影された『新・ドラゴンへの道』が最初です。この作品は1989年9月の中頃に撮影されました。

リンチェイとの初めての作品となる前にすでにツイ・ハークは監督して大ヒットを飛ばしていました。ツイ・ハークは1981年監督作品としては4作目で大ヒット作品を作っていて、その後も立て続けにヒット作品を飛ばし1984ねには香港で初となる興行成績NO1を獲得していました。監督作品だけではなく、プロデュースの方面でも積極的に関わり多くのヒット作品にも関わっています。

1989年の頃には、監督として全盛期だったこともあり、ブルース・リーのリメイク版として製作が始まり1989年9月から12月で映画は撮影されました。途中リンチェイが右手の甲を骨折することなどもありましたが、ギブス装着で撮影は続行され無事撮影は終了しました。撮影は終了しましたが、ツイ・ハークは超売れっ子で多忙の映画監督ということもあってまだ撮影しなければならない作品も多数あり、編集作業やアフレコを行う時間が取れなかったこともあってこの作品は完成しないままの状態になっていました。

ツイ・ハークが編集作業をできずに未完成の状態だった頃に、リンチェイにはゴールデンハーベストから次の作品の話が持ち上がり紆余曲折をへながらも、リンチェイ第二作目になるのは中国の英雄でもあり伝説の武術家で医師、黄飛鴻(こうひこう:ワンチャイ)という中国近代史の最大の英雄を題材にした『黄飛鴻(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明)』に決定しました。元々ツイ・ハークが黄飛鴻を題材にした映画を撮りたがっていましたが、ゴールデン・ハーエストがリンチャイで稼ぎたいという思惑が一致したものだと思われます。

『新・ドラゴンへの道』でツイ・ハークがリンチャイを撮影していく中で、今まで数々の黄飛鴻(ワンチャイ)を題材にした映画が撮られていましたが、今までの黄飛鴻(ワンチャイ)とは違う黄飛鴻作品をツイ・ハークは撮影したかったようです。そして、主役となる黄飛鴻(ワンチャイ)を誰にしようかという点でかなり考えていたようですが、今までとは違う黄飛鴻(ワンチャイ)像を模索する中で、『新・ドラゴンへの道』の撮影を通じてリンチャイの中に新しい黄飛鴻(ワンチャイ)像を見出したのかもしれません。

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黄飛鴻撮影開始

1990年10月に香港ロケから黄飛鴻(ワンチャイ)の撮影が開始されました。撮影にあたってリンチャイはより黄飛鴻らしさを出すために体型をさらにそぎ落とすため、5週間もの間脂肪分と糖分を抜きトレーニングに励みつつその間をぬって英語の勉強などを続けていました。

10月の撮影開始から年が明けた1991年2月の時点で撮影の3分の2を終えていました。リンチェイとゴールデン・ハーベストのとの契約もこの年5月で契約切れとなることもあって、『黄飛鴻』作品を早く撮り終える必要にも迫られていました。しかし1991年3月19日に、リンチェイは格闘シーンで左足を骨折してしまい入院することにありました。契約は5月まで、契約期間内に撮影完了する見込みなしと判断した製作再度は、かつてリンチャイのスタントを努めたホン・ヤンヤンを代役として起用することで『黄飛鴻』作品を完成させることになりました。

リンチェイはマネージメント契約をしていた羅大衛に対しても、1作目の作品を撮影していた時点で不信感を抱いていたこともあって、ゴールデン・ハーベストとの契約も延長することなく5月の契約終了する時点で、ゴールデン・ハーベストとの契約も打ち切ることを決意していました。結んでいた契約では「2年で4作品。600万香港ドル(約1億円)」の契約で、もし万一期間内に4本作品を撮り終えていなくても、600万香港ドルの出演料は保証されていたはずでした。

リンチェイが撮影したのは2本分の作品です。リンチェイはゴールデン・ハーベストとの契約を打ちきって残りの2本分300万ドルをゴールデン・ハーベストに要求することをマネージメント担当の羅大衛に伝えますが、無理だといわれリンチェイ自身も弁護士に相談しますが、残り2本を撮影しなければ逆にゴールデン・ハーベストから600万香港ドルを請求されるとも言われてしまいます。ゴールデン・ハーベスト側は、最高クラスの弁護士を雇っているので争うことは避けるようにとも進言を受けてしまいます。

リンチェイは深く落ち込み、お金もなにもいらない。映画も撮りたくない。ただアメリカへ帰国したいという思いしかありませんでしたが、リンチェイのビザは担保としてゴールデン・ハーベストが持っているので2本の映画を撮影しないとビザも取り消されてしまい、申請中だったグリーンカードも取り消されてしまうことを言われてしまい失意の中に沈んでいきます。相手は何といっても巨大映画会社ということもあって、和解提案を受け入れることになり半年間の契約延長が正式に決定します。

この時期は、ニナ・リーとの不倫関係も3年近くになっていて不倫生活にも悩んでいたこともあって、妻と子供たちにたくさんの財産を渡したいと思っていた状態だったのでお金に対しても非常にシビアだったのかもしれません。

半年間の契約延長を結んだ後、リンチェイはアメリカへ渡り妻に対して離婚したいことを申し出ます。二人が知り合ってから20年にも及ぶ歳月が経っていて結婚生活は4年に渡るものでした。結婚生活をスタートさせて1年後にはニナ・リーに出会っているので実質の結婚生活は2年未満ぐらいでしょうか・・・。リンチェイからの離婚の申し出に妻のホァン・チューイエンは泣き崩れ離婚を拒絶したそうですが、最終的には合意して、2人は1991年夏にひっそりと離婚しました。ホァン・チューイエンの両親は、娘の離婚をメディアを通じて知る事になったそうです。

リンチェイは自分の財産すべてを(映画出演料・家・車)妻と二人の子どもに渡しましたが、妻が受けた傷は深くアメリカへ戻ってからも知人から地下1室を借りて暮らしていたそうです。失業状態のホァン・チューイエンは二人の娘を育てることも出来なかったようで、娘たちの親権はリンチェイが持つことになり、リンチェイの母親が育てることになりました。

ホァン・チューイエンは離婚してから友人たちから男性を紹介されますが、交際することはなかったといいます。ふさぎこんだ日々を送っていましたが、学校へ通い美容師として人生の再スタートを切ることになりリンチェイと離婚してから10年が経ったあとに、運命の男性と出会い2005年に再婚したそうです。離婚してからも、リンチェイとは古き良き友人としての付き合いが続いていて、ホァン・チューイエンが再婚する時にはリンチェイはお祝いの車を贈りました。

初3D作品:ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝